%T 松乃栄 %A 三代目歌川国貞 %C 「松乃栄(まつのさかえ)」は「旧幕府の姫君加州へ御輿入の図」という副題を持つ資料で、総合図書館に貴重書として所蔵されています。この資料は、文政10(1827)年に徳川第11代将軍家斉の第21女・溶姫が加賀藩第13代藩主前田斉泰に輿入れしたときの様子を、三代目歌川国貞が想像を交えて描いた錦絵です。東京大学のシンボルの一つである「赤門」は、このとき溶姫を迎えるため建立されたもので、白無垢の花嫁衣裳に身を包んだ溶姫が、豪奢な行列を従えて赤門をくぐる図は当時の華やかさを今に伝えています。もっとも、この資料は明治22年に描かれたもので、明治22(1889)年は家康が江戸へ入府した天正18(1590)年から数えて三百年に当たり、東京開市三百年祭が営まれた年であったため、溶姫の輿入れが描かれたと考えられます。東京大学にとっては、赤門の由来を伝える貴重な絵画史料と言えます。 【請求記号 A00:6569】 %T 紀州熊野浦諸鯨之圖 %C 請求記号:A00:5852 %C 一般注記:写本本帖は三部から成る 一部末尾に「享保八卯年御尋ニ付紀州熊野浦二分口役所ニおいて吟味之上書付指上候魚之圖 干時享保十五歳戌初夏寫之」とあり 二部冒頭に「以下は製装の際、加ふるものなり。明治十五年十二月」とあり 二部末尾に「文政元年初秋三日伊嶋漁夫網海獲之」とあり 三部冒頭に「以下捕鯨無記名の一巻なり」とあり %C 解説:(享保八年)紀州熊野浦諸鯨之圖 (きしゅうくまのうらしょげいのず) %C 本書は、一帖の中に内容・紙質が異なる三種の資料が見られる。また資料の継ぎ目には、それぞれ旧蔵者田中芳男氏の筆とみられる付箋があることから、恐らく巻子などの体裁で別々に存在した以下1~3の資料を氏が合冊し折本として製本したものと思われるが、資料相互の関係性は不明である。 1.末尾に「享保八年卯年御尋に付紀州熊野浦二分口役所において吟味之上書指上げ候魚之図 干時享保十五歳戌初夏写之」との識語があるため、これが折本の題箋が指す『紀州熊野浦諸鯨之圖』に相当すると思われる。資料には鯨のほか、サメ、イルカ、マンボウまで紹介されている。このように魚の種類が多岐にわたるのは、江戸期の紀州の捕鯨図にみられる特徴でもあるようだ。 2.「以下は製装の際、加ふるものなり。明治十五年十二月」という氏の付箋に続き、エイが2点描かれている。末尾には「文政元年初秋三日伊嶋漁夫網海獲之」と読める識語が見える。 3.「以下捕鯨 無記名の一巻なりし」との付箋に続き、捕鯨の様子が描かれている。巨大な鯨と対峙する漁夫達の姿は勇壮である。 【貴重書 A00:5852】 [田中文庫] %C 文庫区分:田中文庫