%T 救世主像 %C 請求記号:A100:1649 %C 説明:左手に十字架のついた珠を持ち、右手で祝福を与えるキリスト像は、礼拝用聖画として代表的な図像の一つです。この像はアントワープで刊行された銅版画をもとに、銅板に油絵具で描かれました。画面右下に「IS 97」と記されていることから、「IS」を「15」と解釈し、1597年に描かれたとする説があります。 当時の日本ではキリスト教の布教をすすめたイエズス会によって、西洋流の絵画教育が行われていました。この像も裏面に「Sacam. Iacobus」と書き込まれていることから、ヤコブ丹羽(丹羽ジャコベ)が宣教師ジョバンニ・ニコラオの指導を受けて描いたものと推測されています。(2020.07)2019年度東京大学デジタルアーカイブズ構築事業により再撮影を行い、従来の公開画像とあわせて、より高精細な画像も公開しました。 %T ぎやどぺかどる %C 出版: 写 %T ドチリナ・キリシタン %C 出版: 写 %C 原本請求記号: A00:X25 %T 『三十六歌撰』絵巻 %A 大田南畝書 %A 高田圓乗畫 %C 解説: 『三十六歌撰』絵巻 本『三十六歌撰』絵巻(一巻)は、藤原公任の『三十六人撰』に選ばれている歌人(三十六歌仙)の和歌から、一人一首ずつを選び、歌人名と和歌を大田南畝が染筆したものである。また、それぞれの和歌の内容を、狩野派の絵師である高田円乗が、淡彩で簡略な風景画で描いている。ただし、三十六歌仙のうち、斎宮女御と源重之が欠落しているので、合計三十四人分の和歌と絵からなる。 本絵巻は、三十六歌仙の肖像画ではなく、和歌の風景が描かれているのが特徴である。絵巻の制作年、および制作の動機・目的は未詳。絵師の円乗は、詳しい経歴は不明だが、孔子伝や兼好伝の挿絵も描いている。『大田南畝全集』によれば、円乗は南畝や朋誠堂喜三二と交友があった。本絵巻の末尾に、桐廼舎主人(岡野半牧)の考証で、円乗が「徒士組」だったと記されているのは、円乗の伝記に関する新資料か。だとすれば、南畝・喜三二・円乗の三人には、武家の出身という共通項があることになる。南畝と円乗による、珍しい合作絵巻の佳品である。南葵文庫旧蔵(請求記号A00:6251)。 放送大学教授 島内裕子 %C 一般注記: 写本 %C 請求記号: A00:6251 %T 松乃栄 %A 三代目歌川国貞 %C 「松乃栄(まつのさかえ)」は「旧幕府の姫君加州へ御輿入の図」という副題を持つ資料で、総合図書館に貴重書として所蔵されています。この資料は、文政10(1827)年に徳川第11代将軍家斉の第21女・溶姫が加賀藩第13代藩主前田斉泰に輿入れしたときの様子を、三代目歌川国貞が想像を交えて描いた錦絵です。東京大学のシンボルの一つである「赤門」は、このとき溶姫を迎えるため建立されたもので、白無垢の花嫁衣裳に身を包んだ溶姫が、豪奢な行列を従えて赤門をくぐる図は当時の華やかさを今に伝えています。もっとも、この資料は明治22年に描かれたもので、明治22(1889)年は家康が江戸へ入府した天正18(1590)年から数えて三百年に当たり、東京開市三百年祭が営まれた年であったため、溶姫の輿入れが描かれたと考えられます。東京大学にとっては、赤門の由来を伝える貴重な絵画史料と言えます。 【請求記号 A00:6569】 %T 紀州熊野浦諸鯨之圖 %C 請求記号:A00:5852 %C 一般注記:写本本帖は三部から成る 一部末尾に「享保八卯年御尋ニ付紀州熊野浦二分口役所ニおいて吟味之上書付指上候魚之圖 干時享保十五歳戌初夏寫之」とあり 二部冒頭に「以下は製装の際、加ふるものなり。明治十五年十二月」とあり 二部末尾に「文政元年初秋三日伊嶋漁夫網海獲之」とあり 三部冒頭に「以下捕鯨無記名の一巻なり」とあり %C 解説:(享保八年)紀州熊野浦諸鯨之圖 (きしゅうくまのうらしょげいのず) %C 本書は、一帖の中に内容・紙質が異なる三種の資料が見られる。また資料の継ぎ目には、それぞれ旧蔵者田中芳男氏の筆とみられる付箋があることから、恐らく巻子などの体裁で別々に存在した以下1~3の資料を氏が合冊し折本として製本したものと思われるが、資料相互の関係性は不明である。 1.末尾に「享保八年卯年御尋に付紀州熊野浦二分口役所において吟味之上書指上げ候魚之図 干時享保十五歳戌初夏写之」との識語があるため、これが折本の題箋が指す『紀州熊野浦諸鯨之圖』に相当すると思われる。資料には鯨のほか、サメ、イルカ、マンボウまで紹介されている。このように魚の種類が多岐にわたるのは、江戸期の紀州の捕鯨図にみられる特徴でもあるようだ。 2.「以下は製装の際、加ふるものなり。明治十五年十二月」という氏の付箋に続き、エイが2点描かれている。末尾には「文政元年初秋三日伊嶋漁夫網海獲之」と読める識語が見える。 3.「以下捕鯨 無記名の一巻なりし」との付箋に続き、捕鯨の様子が描かれている。巨大な鯨と対峙する漁夫達の姿は勇壮である。 【貴重書 A00:5852】 [田中文庫] %C 文庫区分:田中文庫