田中芳男・博物学コレクションについて
田中芳男・博物学コレクションでは、東京大学総合図書館所蔵の田中芳男文庫(約6,000冊)のうち『捃拾帖(くんしゅうじょう)』をはじめとする資料をデジタル化し公開しています。
田中芳男について
田中芳男(たなか よしお・1838(天保9)年 ~1916(大正5)年)は信州飯田藩の医師の家に生まれ、若い頃、医術、本草学を名古屋の伊藤圭介(日本で初の理学博士号取得者、後に東大教授)に学び、その後多くの博物関係の資料及び標本を収集しました。(詳しくは、「田中芳男文庫と『捃拾帖』について」 をご参照ください。)
田中芳男文庫について
田中芳男文庫は、孫の田中美津男男爵によって1931(昭和6)年に東京大学に寄贈されたもので、我国における博物学及び博覧会関係の貴重なコレクションです。さらに詳しい解説をみる:総合図書館コレクション解説(田中芳男文庫)
おもな資料の解説
1.「捃拾帖(くんしゅうじょう)」「外国捃拾帖」:2018年8月公開
- 2018年8月の「田中芳男・博物学コレクション」のインターネット公開に際して、コレクションの中核を成す『捃拾帖』の資料解説として、電気通信大学 大学院情報理工学研究科・佐藤賢一 准教授に「田中芳男文庫と『捃拾帖』について」を執筆いただきました。
「田中芳男文庫と『捃拾帖』について」は、こちらのページをご覧ください。 - メタデータ及び情報源について
- 「注記」欄には、題簽に記されている細字の情報(題簽細字)を記載しています。
- 『捃拾帖(くんしゅうじょう)』の注記の入力にあたっては、電気通信大学の佐藤賢一先生による「田中芳男『捃拾帖』の構成について:欠本5冊の行方を探る」(『洋学』24,洋学史学会,2017)の「表1 『捃拾帖』各冊子の書誌情報一覧」を参照しました。
- 注記(題箋細字)の「■」は、判読不明文字です。
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メタデータについて
No. 項目名 説明 1 タイトル タイトルの漢数字及び「甲」「乙」などの記号は、資料本体の題簽や背ラベルに記載された冊次表記を表しています。
2 別タイトル 題簽に記載された、タイトル以外の別タイトルです。 3 注記 題簽題の下に田中芳男が細字で書き込んだメモ書き(題簽細字)です。貼り込まれた資料の概要や年代、貼付け時期などが書かれています。 4 冊 資料の連番です。 ※ 『捃拾帖(くんしゅうじょう)』の九四は2冊存在しています(冊次表記が重複しています)。
※ 以下は欠本です。
・『捃拾帖(くんしゅうじょう)』五七、六十~六三
- 電子展示『捃拾帖』 - 史料編纂所「摺物データベース」との連携 -
史料編纂所が公開する「摺物データベース」では、『捃拾帖(くんしゅうじょう)』第1帖から第15帖に貼り込まれた資料単位の検索サービスが提供されてきました。2019年1月15日、「摺物データベース」の『捃拾帖(くんしゅうじょう)』書誌データと「田中芳男・博物学コレクション」の画像を結び付けた「電子展示『捃拾帖』[くんしゅうじょう]」を公開しました。こちらも是非ご利用ください。
2.「物産雑説」「物産宝庫」:2020年3月公開
「鳥類」「果物類」「鉱物類」「軟体類」「木材類」などのカテゴリ別に、様々な物産について解説したもので、対象物の搨写図(フロッタージュ)も多く含まれます。『日本の博物館の父 田中芳男展』(飯田市美術博物館発行)によると、『物産宝庫』は明治10年代に制作され、一方『物産雑説』の編集が完了したのは大正14(1925)年1月とあります。
※ 以下は欠本です。
・『物産雑説』乙五
3. 教草(おしえぐさ):2020年8月公開
「稲米一覧」「葛粉一覧」「煙草一覧」「蒔絵一覧」「蝋一覧」など、日本各地の農産物や生産品などを1枚にまとめて図解したものです。明治5(1872)年から数年をかけて30枚が発行され、このうち当館で所蔵する22枚を公開しています。
4. 鯣帖(するめじょう):2020年8月公開
日本全国のスルメ・イカに関する資料で、スルメの搨写図が多くを占めます。題箋に書かれた記載から、第一帖は明治17(1884)年に、第二帖は明治21(1888)年に製作されたことが分かります。
参考文献
- 佐藤賢一「田中芳男『捃拾帖』の構成について:欠本5冊の行方を探る」(『洋学』24,洋学史学会, 2017)
- 飯田市美術博物館編『日本の博物館の父田中芳男展』(飯田市美術博物館, 1999)
- 飯田市美術博物館編『日本の近代化に挑んだ人びと : 田中芳男と南信州の偉人たち : 田中芳男没後一〇〇年記念特別展』(飯田市美術博物館, 2016)