資料の解説

「東京帝国大学五十年史料」は、『東京帝國大學五十年史』(1932(昭和7)年)編纂の過程で収集された、東京大学の歴史に関する公文書、記録及び編纂のための参考図書等から構成されたコレクションです。昭和30年代後半に「五十年史料」として整理され、貴重図書として総合図書館に所蔵されています。

コレクションの内容は、明治初年以降の開成学校―東京開成学校―東京大学法理文三学部系統と、医学校―東京医学校―東京大学医学部系統の主に二系統の公文書の副本類が中心となっています。資料名に「含要類纂」とあるものは、開成学校系統の文書のうち文部省との往復文書の副本で、その大部分は、東京大学文書館に保管される「文部省往復」を正本としています。(「文部省往復」は、東京大学文書館デジタル・アーカイブからデジタル画像閲覧可。ただし、五十年史料と同一の標題や編綴ではない場合あり。)一方、医学校系統の文書類は同じく文部省との往復文書の副本であるものの、既に正本が消失しているため、副本のみが現存しています。

これらは、現在の東京大学の原型が形作られる1881(明治14)年以前の資料を多く含み、東京大学前史及び創設期、さらには日本近代高等教育史を知る上で極めて貴重な資料群と言えます。2013(平成25)年には、このうち317点が、東京大学文書館所蔵資料とともに「東京大学史関係資料」として、重要文化財に指定されました(平成25年6月19日付官報(号外第128号)文部科学省告示第百十五号)。

なお、資料には一部、今日では不適切と思われる表現が含まれておりますが、歴史文書である点を考慮し、原文のまま公開しております。


参考文献 

  • 東京大学百年史編集室『「東京帝国大学五十年史」目録』1983年7月
  • 小川智瑞恵「「東京大学史関係資料」について」(『東京大学史紀要』第32号 2014年3月)