日本帝國形勢總覽(ニホン テイコク ケイセイ ソウラン) / 細川廣世編.
ニホン テイコク ケイセイ ソウラン
Nihon teikoku keisei souran
請求記号:鴎A90:440
注記:書入頁
明治16年(1883)の国勢について調査した本。裏表紙の前に「本郷六丁目発売」の元号と西暦の対象表、モース(E.S.Morse)の通訳を務めていた竹中八太郎出版の『七曜便覧』(1883)が貼り込まれている。 本文中の書入れは、年号関連、度量衡関連の補足、統計数値の補足に大別され、年号に関しては元号と西暦との対照、「Am 17 Meidji=1884」(明治17年=1884に)と付記しての、明治17年と任意の年との間隔を計算したメモがある。裏表紙前の貼り込みとも関係があると思われる。度量衡については、主に日本と諸外国との単位の変換が行われている。用いた資料として、『独乙軍政全書』(出版年・著者不明、松見斧次郎訳、所蔵なし)、『統計年鑑』(詳細不明)、『特命全権大使米欧回覧実記』(久米邦武、鴎J70:23)、『陸軍病院薬局方』(詳細不明)があげられ、また『雲南紀行』(依米拉色(エミール・ロセール)著、若藤宗則訳、陸軍文庫、1883、所蔵なし)からも引用がある。本の内にも「右時事新報」として、「清里」と題する清の度量衡についての文章を書いた紙が綴じられている。 統計数値に関しては、本文中の数値の書き加えや、「肺病・脚気」患者に関する表の書入れの他、表紙裏に「時事新報」(明治18年2月5日)の「雑報」による表「獣医人員」が、奥付には「東京府下肉店及牛乳店(明治十七年十月調)」(「時事新報」明治17年11月18日の「雑報」による)、「全国官有及民有地反別種類(十五年十二月卅一日調)」、「明治十七年調」と付された北海道への移住状況の統計が、記されている。 鴎外は、呉秀三訳になる『医学統計論』(エステルレン、東京スタチスチツク社、1889)の序文『医学統計論ノ題言』や、それに始まる東京スタチスチツク社との「医学統計論争」など、統計が国家学の一種と考えられていた明治20年代において、時代に先んじて方法論的な把握を行っていたという。更に、「医学統計論争」の第7論文『統計ノ訳語ハ其定義ニハ負カズ』では、脚気予防対策問題に触れ、統計の本質論についての議論をも行っている。(山)
関連作品: 『医学統計論の題言』(全集26巻)
関連作品: 『統計ノ訳語ハ其定義ニハ負カズ』(全集26巻)
参考文献: 小堀桂一郎『森鴎外−文業解題』創作篇,岩波書店,1982年
参考文献: 丸山博『森鴎外と衛生学』勁草書房,1984年
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This database mainly contains materials with Ogai's handwritten transcripts and materials with his handwritten memos among the Ogai Bunko, the former book collection of Mori Ogai.