学術資産のなかのたべもの

膳部之事のサムネイル

学術資産のなかでたべものに関連する資料を集めてみました。他にもたくさんあるので、ぜひ皆さんも探してみてください!


栗:「捃拾帖 五十四」(捃拾帖)

栗(目黒・角伊勢)

明治期に田中芳男が作成したスクラップブック『捃拾帖』五十四冊目の中にある栗が描かれた広告です。目黒不動尊の門前にあった料亭は筍飯や栗飯で有名で、多くの文人墨客が足を運んだようです。『捃拾帖』にはこのほかにもお菓子をはじめとした包み紙やラベルなどがたくさん貼り込まれています。

ちなみに、捃拾帖で食べ物を探すときは当方で別途提供しているこちらのサイトもおすすめです!(リンクはfoodタグで検索したものです)

「貼り込み資料画像検索プロトタイプ」


生魚切手:「生魚切手」(古貨幣・古札統合データベース)

生魚切手の写真

「切手」とは現在の商品券にあたるもので、贈答用として多用されていました。写真の生魚切手は江戸時代の山陽道で用いられており、この切手を用いることで、額面(ここでは一匁)の生魚と交換する事が出来ました。


献立や食器の解説:「 膳部之事(ゼンブ ノ コト) . [写本] 」(鴎外文庫書入本画像データベース)

(トップ画像)

膳部之事は鴎外の自筆写本です。熨斗の作り方、本膳料理の配置や献立、鉢や提子、銚子などの食器類について、それぞれ鴎外が自ら描いた図を添えて解説してあります。

献立や食器の解説


戦時下の食糧事情:「自給自足を目指そう∽376」「食料の節約を止めないで∽225」(第一次世界大戦期プロパガンダポスターコレクション)

「自給自足を目指そう∽376」「食料の節約を止めないで∽225」のポスターは第一次世界大戦時にアメリカで作成されたポスターです。このポスターからは戦時下における食糧難の様子を読み取る事が出来ます。

自給自足を目指そうのポスター画像 食料の節約を止めないでのポスター画像


海の幸や山の幸:「大和本草」(総合図書館所蔵古典籍(国文研デジタル化分))

大和本草は貝原益軒(名は篤信)が編纂した本草書です。「本草」は元々薬用植物についての学問ですが、大和本草には薬用に使われる動物や鉱物、薬用とは関係のない農産物や雑草なども収載されています。

大和本草の山柿

大和本草の牡蠣やホタテ


鳥を捌く人:「画入柳樽」(総合図書館所蔵江戸期俳諧書)

「画入柳樽」は一般的には「画本柳樽」として知られ、 明和~天保年間にかけて刊行された「誹風柳多留」その他の川柳に絵を付けたものです。たいへん人気があり、様々な版が出版されました。その中には調理風景や食事風景が垣間見えるものもあります。

 右上の挿絵では包丁を持った男性と、籠と鳥が描かれています。この句には判じ絵らしきものが含まれているため判読できていませんが、最初の3文字に見える「東国や(東国屋)」は日本橋按針町の有名な鳥肉専門店(鳥問屋)でした。「誹風柳多留」には「明日知らぬ 鷺に餌を飼ふ 東国屋」などの句がおさめられています。

参考: 『江戸川柳飲食事典』渡辺信一郎著(東京 : 東京堂出版 , 1996.9)

鳥を捌く絵

 


地震ナマズを食べてしまおう:「鯰のかば焼き大ばん振舞」(総合図書館所蔵「石本コレクション」)

地震を起こすと言われていたナマズを鹿島大明神、讃岐の金比羅、西の宮の恵比寿が料理している様子が描かれています。

鯰のかば焼き大ばん振舞

参考:「江戸食文化紀行 No.262 地震と鯰」(歌舞伎座)


正座で洋食?:「(祝賀会記念写真)」(東京大学総合研究博物館所蔵「三宅一族旧蔵コレクション」)

近代医学の発展に多大な貢献をした近代医家三宅一族の三宅鑛一博士に贈られた写真で、大正14年(1925)に撮影された祝賀会の様子です。畳に正座でシャンパングラスを掲げています。日本酒の徳利らしきものも見えます。

(祝賀会記念写真)


本電子展示は令和元年度図書館実習生(慶応義塾大学の佐藤秀成さん・高須喜恵さん)の実習成果を元にして作成されました。