資料の解説

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「東京大学教養学部国文・漢文学部会所蔵 黒木文庫」のリニューアル公開について

このサイトは、2006(平成18)年に公開された「電子版 黒木文庫」のデータを引き継ぎ、東京大学デジタルアーカイブズ構築事業の一環として2019年11月にリニューアル公開したものです。
リニューアル公開に際しての大きな変更点は次の2点です。

  • 画像データの効果的・効率的な共有を行うことができる国際規格「IIIF(International Image Interoperability Framework:トリプルアイエフ)」に準拠しています。
  • 公開する画像及び書誌データは、利用目的を問わず、特段の手続きなく自由に利用することが可能になりました。
    https://www.lib.u-tokyo.ac.jp/ja/library/contents/archives-top/reuse

 


(※「黒木文庫概要・電子版黒木文庫について」「特別展「江戸の声-黒木文庫でみる音楽と演劇の世界」」は、旧サイトからの転載です)

■黒木文庫概要
黒木文庫は、旧制東京高等学校教授で近世演劇と音楽の専門家として知られる黒木勘蔵氏(1882~1930)が集めたもので、その没後勤務先に遺され、戦後の新制・東京大学教養学部発足以来、同学部の国文・漢文学部会が管理してきたコレクションである。
黒木氏は、早稲田大学文学部を卒業し、高野辰之(1876~1947)の下で東京音楽学校邦楽調査に従事、『近世邦楽年表』をはじめ数多くの編著をものした。同時代の主立った蔵書家と交遊し、自分も多くの演劇資料を収集したが、大正12年の関東大震災で浩瀚の蔵書の大半を失った。
ここに公開する黒木文庫は、その主人が没するまでの7年間に集めた書物がほとんどで、一知識人の生きざまを知る上でも、貴重な集積であると言えよう。内容として浄瑠璃・歌舞伎その他各音曲ジャンルを参照し合うかたちで豊富に揃え、研究者の目線を如実に感じさせる。

■電子版 黒木文庫について
このデータベースは、平成15年度~平成17年度の日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究〔A〕)「近世における音曲と演劇テクストの総合比較研究」(松岡心平代表)の交付を受けて行われたものである。
黒木文庫および林又一郎舞台資料の書誌に関しては、佐藤が凡例を定め整備担当者各自のデータを統合し、書誌データベース構築と校正等データ整備の推進にあたった。キャンベルは、画像作製の整理と監修にあたり、データベース全体の統括および推進を行った。書誌データは今年度中に完成させ、必要に応じて随時更新する予定である。
今回原本を全点見直し、書誌の拡充と確定につとめたが、その基礎となったものは東京大学教養学部人文科学科国文学研究室・漢文学研究室編「東京大学教養学部国文学研究室所在 和漢書分類目録」(『人文科学紀要』第68輯、1978年発行)である。かつて上記の目録をまとめられた延広真治氏(東京大学名誉教授)および古井戸秀夫氏(東京大学教授)に対して、改めて感謝の意を表したい。

2006年4月
東京大学大学院総合文化研究科助教授 ロバート キャンベル

 東京大学教養学部 国文・漢文学部会 著
 ロバート キャンベル / 佐藤 知乃 責任編集
 書誌データ調査および整備担当(略敬称): 青山英正、池山晃、岡田万里子、神林尚子、ロバート キャンベル、
 近藤美織、佐藤温、佐藤知乃、高山大毅、土田牧子、丹羽みさと、韓京子、光延真哉、村上謙、森山暁子、梁蘊嫻

 


■書誌項目と凡例

  • 請求番号:零葉なども1点と数え、請求番号を与えた。
  • 上演年(西暦)・上演年(和暦)・上演年月日:上演資料の場合、それぞれ「1753」「宝暦03」「02・26」のように示した。資料に記載のないものは考証によった。閏月は「01閏28」のように示し、日にちを「吉日」などとするものはそのまま採用し、「11・吉」などと示した。
  • 上演地域・劇場:上演資料の場合、資料の記載にもとづいて示した。略称を用いたものもある。
  • 興行人:上演資料の場合、名代、座本のほか、太夫本など興行関係者名を、その肩書もつけて示した。
  • 題種・題名:表記は資料にもとづくが、通行の字体に改めた。角書は</>内に示し、外字はどの項目でも〓とした。なお題名よみは、現代仮名遣いに改めて平仮名で示した。濁点や半濁点などは適宜統一をおこなった。検索の便宜上、推定のよみを与えたものもある。推定のよみには末尾に*を付した。
  • 刊写
  • 体裁
  • 作者名:原則として資料の上に、作者またはそれに類するものとして現れた人名を示した。
  • 内題下:主として浄瑠璃正本、音曲正本の内題下に現れた人名等を示した。
  • 演奏者:浄瑠璃正本等における太夫連名の有無を示した。また音曲正本等に現れた主要な演奏者名を適宜示した。
  • 刊記
  • 刊年:原則として資料の上に現れた刊年を示した。
  • 板元
  • 書誌備考
  • 親書誌:例えば黒0963-0014「[三座花くらべ]」は、江戸辻番付45点の集合体に与えられた題名である。このような場合、「[三座花くらべ]」を親書誌とし、1点ごとの辻番付を子書誌として、子書誌データでは親書誌の題名も示した。

■特別展「江戸の声ー黒木文庫でみる音楽と演劇の世界」
この展覧会では、黒木文庫を中心に音曲の正本と稽古本、浄瑠璃正本、そして近代にいたる歌舞伎などさまざまなジャンルの演劇資料から、選りすぐりの百余点を初公開。他機関の貴重な文献と錦絵も加わり、日本の音楽と演劇が織りなす鮮やかな世界を浮彫にする。
■特別展のご案内 展示は5月7日(日)に無事終了いたしました。
●会場:東京大学 駒場博物館 東京都目黒区駒場3-8-1(京王井の頭線「駒場東大前」駅下車3分)
●主催:東京大学教養学部 国文・漢文学部会 / 東京大学大学院総合文化研究科・教養学部 美術博物館
●共催:東京大学21世紀COE「共生のための国際哲学交流センター」(UTCP)
●後援:国文学研究資料館 / 国立音楽大学附属図書館 / 東京高等学校同窓会
●協力:駒場友の会

 

  

 

■講演+シンポジウム・演奏会
駒場国漢フォーラム主催によるシンポジウムが、2006年4月23日(日)東京大学駒場キャンパス 数理科学研究所大講堂にて開催されました。約240人の入場者を迎え、盛況のうちに終了いたしました。
●講演+シンポジウム:13:00-15:45
「江戸の声:日本の音楽が語りえたもの」
 竹内道敬(前国立音楽大学教授)「江戸の三味線音楽」
 兵藤裕己(学習院大学文学部教授)「身体の近代化と歌舞伎の音楽性」
 松岡心平(東京大学大学院総合文化研究科教授)「能の音楽から歌舞伎へ」
 司会:ロバート キャンベル(東京大学大学院総合文化研究科助教授)

●演奏会:16:00-17:00
 常磐津「勢獅子」
 浄瑠璃=常磐津兼豊
 三味線=常磐津紫緒
 解説:安田文吉(南山大学人文学部教授)

 


■お問い合わせ先
このサイトに関するご意見・ご質問は、メールにて以下までお願いします。
東京大学教養学部 国文・漢文学部会事務室
kokkanjimuall-group@g.ecc.u-tokyo.ac.jp

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