スタニスラス・プチ『産業実務家』 PETIT, Stanislas. Le Praticien Industriel.

資料の解説 > スタニスラス・プチ 『産業実務家』
 

教養学部の情報・図形科学部会(旧図学教室)には、教養学部の前身である第一高等学校の画学(図学)・測量関係の教育資料が数多く今に伝えられている。その一つが、機械製図の教材として用いられたスタニスラス・プチ『産業実務家』である。

印記によると第一大学区開成学校、東京大学法理文学部、帝国大学、第一高等中学校が各一本を所蔵していた。各本の印記は次の通りである。

● 第一中学本 「第一高等中学校図書」「第一高等中学校図書閲覧室用」
● 開成学校本 「第一大学区開成学校図書」「東京大学図書之印」「東京大学法理文学部書庫所蔵」
● 東京大学本 「東京大学図書之印」「東京大学法理文学部書庫所蔵」
● 帝国大学本 「帝国大学図書之印」

第一中学校本を除く各本には帝国大学図書館の蔵書票「帝国大学図書館No. 4466」が貼られている。

 

『産業実務家』は建築・機械など126図120枚からなる図面集であるが、現在、各本とも完本ではなく(開成学校本1枚、東京大学本49枚、帝国大学本57枚、第一中学本114枚)、残念ながらすべてを合わせても1枚(第125図)欠ける。なお、帝国大学の蔵書票のみの1枚(第31図)は帝国大学本に算入した。

編纂者のプチについては、図面を収めた帙の表紙にConducteur au Corps des Ponts et Chaussees(土木局長)とある以外に知るところはない。出版社はパリのモンローク兄弟社。刊行年も不明であるが、第一大学区第一番中学が第一大学区開成学校と改称されるのが明治6年(1873)4月で、翌年5月には東京開成学校と再び称を改めているから、1873年以前の刊行とみてよい。

現存する作品から東京大学理学部工学科・第一高等中学校・第一高等学校(明治27年6月の高等学校令の公布により第一高等中学校を改称)では機械図の課題の一つとして学生にプチの図面を写させていたことに疑問の余地なく、現存する作品はないが、機械製図を学生に課した開成学校工学と帝国大学工科大学機械工学科・電気工学科・応用化学科でも同様のことが行われていたのだろう。

開成学校から東京大学をへて帝国大学に移行した過程を考えると、開成学校本を東京大学が引き継ぎ、開成学校・東京大学両本を帝国大学が受け継いだことに何の不思議もないが、帝国大学の予科である第一高等学校に開成学校本以下の諸本が伝来した経緯は定かでない。第一高等学校では画学の授業時間数が半減する大正9年(1920)までプチの図面集を教材として使用しているから、帝国大学で用済みとなった諸本を画学教室がもらい受けたのかもしれない。

※この資料は現在は駒場博物館の所蔵となっています


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