平賀文書はその後、2004(平成16)年に東京大学大学院工学系研究科・海洋環境工学専攻の大和裕幸教授の斡旋により同専攻に移管され、2006(平成18)年4月に柏キャンパス図書館に保管されて現在に至っています。
この文書移管を契機として2004年から前出の内藤・山本・片山・宮崎・戸高各氏・畑野(2006年10月から、東京大学大学院新領域創成科学研究科客員共同研究員)に加えて、東京大学から大和裕幸教授(大学院新領域創成科学研究科)の他に安達裕之教授(大学院総合文化研究科)・稗方和夫助手(大学院工学系研究科)・坪内孝太(大学院新領域創成科学研究科学生)の各氏が参加して、資料整理と公開の方法の検討を行いました。
まず2004年度に東京大学の学部学生で構成される「東京大学ジュニアTA」の活動の一つとして、平賀文書をデジタルアーカイブ化するプロジェクトが発足しました。同プロジェクトにおいては資料の一部(約1000点)をデジタル化して試験的にアーカイブの構築を行うとともに、平賀の功績や思想を学習し、その成果をHP(http://www.nakl.t.u-tokyo.ac.jp/hiraga/)上に紹介しました。これらの成果は2005(平成17)年5月に東京大学本郷キャンパスで開催された五月祭で、また同年10月に東京大学柏キャンパスで開催されたオープンキャンパスにおいてそれぞれ披露され、あわせて資料の一部の展示や関係者による講演会も実施されました。
このプロジェクトにおいて得られた知見を活用して、翌2006(平成18)年には東京大学工学系研究科環境海洋工学専攻・同新領域創成科学研究科人間環境学専攻・呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)の共同作業によって、東京大学所蔵の平賀文書すべてのマイクロフィルム撮影とデジタルアーカイブの作成を行うこととし、同年度中に作業を開始しました。翌2007(平成19)年度には、科学研究費補助金「平賀譲文書のディジタルアーカイブ公開並びに研究体制構築と産業技術史的研究」(代表:大和裕幸教授)などにより資料(現物)の保管・デジタルアーカイブ公開それぞれの体制を整備し、2008(平成20)年4月に本ホームページにて平賀文書のデジタルアーカイブ公開の運びとなりました。
また東京大学創設と平賀生誕から数えて130周年にあたる2008年には、「平賀譲とその時代-一高生から東大総長へ」が東大駒場博物館で開催されました。