平賀譲について現在入手できる文献は非常に限られています。生前の平賀の活動を詳細に伝えるものとしては下記①・②・③がありますが、艦船関係については旧海軍の造船官による回想録の類と、上記「平賀文書研究会」メンバーであられる山本善之氏が執筆された論文(下記④)、東京帝大総長時代の平賀に関する記述については宮崎ふみ子氏の論文(下記⑤)が存在します。
これまで平賀譲文書を利用し、公刊された研究としては、東京大学史史料室室員(当時)として同文書の整理を担当した畑野勇による(下記⑥)がありますが、本格的な学術研究は人文社会・自然いずれの分野においても未だなされていない状況にあります。しかし今後は本デジタルアーカイブにより、艦船関係史料の技術的価値などが明らかにされ、やがてこれら史料を駆使した本格的学術研究の可能性は高まってゆくことが期待されます。
【研究文献一覧】
- 牧野茂・内藤初穂編『平賀譲遺稿集』(出版協同社1985年)
- 内藤初穂『軍艦総長 平賀譲』(単行本は文藝春秋1987年、文庫版は中央公論新社1999年)
- 秦郁彦「平賀譲-大艦巨砲の設計者」(『昭和史の軍人たち』文藝春秋1982年所収)
- 山本善之「平賀譲先生を考える(1)~(4)」(関西造船協会『らん』第37~40号連載、1997~1998年)
- 宮崎ふみ子「東京帝国大学新体制に関する一考察」(『東京大学史紀要』第一号、1977年所収)
- 畑野勇『近代日本の軍産学複合体 -海軍・重工業界・大学-』(創文社、2005年)