大阪錦画日々 第三十四号
Level: アイテム
identifier: O-COL-SN-029
Type: 錦絵
Subject: 新聞錦絵
number of pages: 1
来歴-所有者(L6-001): 東京大学大学院情報学環図書室/附属社会情報研究資料センター
来歴-現物資料の来歴(L6-002): 1970年代後半小野秀雄邸より旧新聞研究所に移管。1980年代から2000年代にかけて情報学環本館7F展示室に保存されていたものを、2007年以降図書室/社会情報研究資料センター貴重資料保存スペースに移管。
言語(L6-077): ja
内容記述(L6-068): 馬具屋の熊五郎の妻が密通、家出の後始末 (読み下し文_括弧なし:東京小石川富坂町馬具や熊五郎が女房ハ三河町の辰五郎といふものと密通をして家を/逃出し越前ぼりの姉の家へ行しを熊五良が聞て湯島辺にて男をうる常政にたのミ/引戻さんと非を理にまげる言葉にふくし女ハ思ひなをし跡より常政か家へ来て心得/違を侘る所へ三河町の辰五良が/来るより早く此女を/おのれが勝手に/すると無法の/一言常政に/さしこまれ巡査に引かれ/罰金取られさり其後常政と同道し女房を熊五郎へわたしけるに母と中があわぬから女房のいふにハ/母上の気に入らぬわたし根岸の里の岡の助といわれたわたしを/受出したお金の冥加とこんどのまちがひ再び稼ぎ言訳せんと中山道深谷宿へ三十ふり袖四十円その身の代をおつとへわけ/年があきなバすへ/長くとわびして家を/出てゆく/わるい心を改/めしハ是肝/要の一くだりハ/読売/八十二号と/出たり )
作成(L6-027): 絵師:二代貞信/彫師:ホリ忠治
デジタルデータ関連-デジタル化の有無(L6-046): デジタル化済
元記事原文(CUSTOM_00023): 読売新聞第八十二号 ○小石川(こいしかわ)下富坂(しもとみさか)町の馬具屋(ばぐや)熊五郎(くまごらう)の女房(にようばう)は去年(きよねん)の秋(あき)三河(みかは)町の辰五郎(たつごらう)といふ同職(どうしよく)のものと密通(まをとこ)をして熊五郎(くまごらう)の家(うち)を逃(にげ)だして越前堀(えちぜんぼり)の姉(あね)の家(うち)へ参つて居(お)るを熊五郎(くまごらう)が聞(き)いて湯しま辺(へん)で男(をとこ)をうつて居(ゐ)る常政(つねまさ)をたのみどふぞ女房(にようばう)が帰(かへ)るやうに取(とり)はからツて下されといへば常政も承知(しやうち)したと請合(うけあ)ひ夫(それ)よりその女(をんな)へ掛合(かけあ)ふとじつは私(わた)しも熊(くま)さんの家(うち)には居(ゐ)ましたが戸籍(にんべつ)もまだ母(おや)の方(はう)に有(あ)るしホンの仮(かり)に居(ゐ)たやうなものだからそんなに女房(にようばう)よばはりをして威張(ゐば)られた訳(わけ)でも有(あ)りますまい成(な)るほどそう言(い)へばそうだが併(しか)しよく考(かんが)へて見(み)なさい御前(おまへ)が根津(ねづ)に居(ゐ)た時分(じぶん)に熊公(くまこう)が入(い)りあげた金(かね)は少(すこ)しの事(こと)では有(あ)るまいまして受出(うけだ)す時(とき)にも苦(くる)しい算段(さんだん)をして漸(やうや)く連(つれ)て来(き)て末長(すゑなが)く女房(にやうばう)にしたい一心(いつしん)でしたのを御前(おまへ)のやうに戸籍(にんべつ)を洗(あら)ひたてて熊公(くまこう)の面(かほ)をつぶしてはいかに是(これ)まで薄情(はくじやう)の家業(かげふ)にもしろ余(あま)り情(なさけ)ないといふものだ昔(むかし)の娼妓(ぢようろ)は兎(と)も角(かく)も今時(いまどき)は素人(しろうと)も同様(どうやう)に成(な)つて身儘気儘(みままきまま)に成(な)る上(うへ)からは心(こころ)も素人(しろうと)の積(つも)りで真実(しんじつ)もつくさなければ成(な)るまいと段々(だんだん)の説諭(ときさとし)に何(なん)とも返答(へんたう)も出来(でき)ずその日(ひ)はまづ姉(あね)さん慥(たし)かに此子(このこ)を預(あづ)けましたといつて常政(つねまさ)は家(うち)へかへると其後(そののち)かの女房(にやうばう)は常政(つねまさ)の家(うち)へ来(き)て是(これ)までの心得違(こころえちが)ひを詫(わ)び入(い)るゆゑ夫(そん)なら私(わし)の骨折(ほねをり)も見(み)えて有(あり)がたいといツて居(ゐ)る処(ところ)へ三河(みかは)町の辰五郎(たつごらう)が来(き)て此女(このおんな)は己(おれ)の勝手(かつて)にすると無法(むはふ)にいひ出(だ)したるを常政(つねまさ)に一(ひ)ト言(こと)さしこまれた上(うへ)に巡査(おまはり)に引(ひ)かれて罰金(ばつきん)をとられ青菜(あおな)に塩(しほ)をかけたやうに小(ちい)さくなり夫(それ)より常政(つねまさ)は熊五郎(くまごらう)へ咄(はな)しをいたして再(ふた)たび家(うち)へ入(い)れる事(こと)に極(きま)りしに熊五郎(くまごらう)の母(はは)は此女(このをんな)を気(き)に入(い)らぬといつて朝晩(あさばん)の折合(おりあひ)もわるく熊五郎(くまごらう)夫婦(ふうふ)も一旦(いつたん)よくない事(こと)が有(あ)つたゆゑ母(はは)の気(き)に入(い)らぬのも尤(もつとも)の事(こと)とおもひおるうちに女房(かみさん)がいふには私(わた)しも是(これ)まで御前(おまへ)の世話(せわ)に成(な)つて根津(ねづ)に居(ゐ)て岡(おか)の助(すけ)といつて居(ゐ)たときから此家(このうち)のかねを御前(おまへ)に遣(つか)はした上(うへ)で此間(このあいだ)もアンナ心得違(こころえちがひ)をしたのは実(じつ)に悪(わる)かつたゆゑ母上(おつかさん)の気(き)に入(い)らない訳なれば私(わたし)は此(この)うへ一年(いちねん)のあひだ勤(つと)めに出(で)て稼(かせ)いて御前(おまへ)と母上(おつかさん)へ詫事(わびごと)を致(いた)しますと自分にて中山道(なかせんだう)深谷宿(ふかやじゆく)の或(あ)る女郎屋(ぢようろや)へかけあひ一年(いちねん)四十円(えん)と取(とり)きめその金(かね)を三十円(えん)熊五郎(くまごらう)へわたしてどふぞ此金(このかね)を元手(もとで)にして今年(ことし)一(いつ)ぱい辛抱(しんばう)して下(くだ)さいまた母上(おつかさん)も大事(だいじ)にして居(ゐ)て下(くだ)さい私(わた)しも此(この)十円(えん)を小遣(こつか)ひにして精精(せいせい)稼(かせ)いだ上(うへ)で今年が立(た)つた上(うへ)に常政(つねまさ)さんを頼(たの)んで母上(おつかさん)へ詫(わび)をして貰(もら)つて末長(すえなが)く夫婦(ふうふ)に成(な)りますからと堅(かた)く約束(やくそく)して今月(こんげつ)十日に熊五郎(くまごらう)と別(わか)れて深谷(ふかや)へ行(い)つたといふ人間(にんげん)は悪(わる)い事(こと)をしたと心付(こころづい)た上(うへ)は改(あらた)めるのが肝要(かんえう)で有(あ)りますが兎角(とかく)強情(ごうじやう)の人(ひと)は悪(わる)いと知(しり)つつ改(あらた)める事(こと)が出来(でき)ぬが中中(なかなか)六ヶ敷(むつかしい)ことで有(あ)ります
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部局情報学環・学際情報学府
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所蔵者東京大学大学院情報学環図書室/附属社会情報研究資料センター
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提供者東京大学大学院情報学環図書室/附属社会情報研究資料センター
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メディア(画像等)利用条件http://dch.iii.u-tokyo.ac.jp/s/dch/page/license_other
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メタデータ利用条件http://dch.iii.u-tokyo.ac.jp/s/dch/page/license_other
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IIIFマニフェストURIhttps://dch.iii.u-tokyo.ac.jp/iiif/23902/manifest
コレクション名
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Digital Cultural Heritage
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関連資料
東京日々新聞 千五十五号 [七]
