東京日々新聞 千五十五号 [七]

種別
図書
内容記述

Level: アイテム

identifier: O-COL-SN-217

Type: 錦絵

Subject: 新聞錦絵

number of pages: 1

来歴-所有者(L6-001): 東京大学大学院情報学環図書室/附属社会情報研究資料センター

来歴-現物資料の来歴(L6-002): 1970年代後半小野秀雄邸より旧新聞研究所に移管。1980年代から2000年代にかけて情報学環本館7F展示室に保存されていたものを、2007年以降図書室/社会情報研究資料センター貴重資料保存スペースに移管。

言語(L6-077): ja

内容記述(L6-068): 性悪女房に天罰下る。(読み下し文_括弧なし:五逆の罪不孝より大なるはなしと爰に安芸の国沼田郡楠木村の/木挽職佐次郎の妻ハ容貌見にくからざれど心にとげある花茨を矯直/さんと佐次郎が父柳平ハ折々に異見/なせども馬耳東風果ハ父をも罵れバ/柳平呆て佐次郎に離別/の事をすすめしかど艶な/る色に心を奪はれ去/べき心あらざれバ柳平之を苦に病みて重/き枕に伏柴の凝ばかり/なる憂なやみ種々/の医療も験/なく■に泉下の客と/なりしを彼の女房/ハ一滴の涙落さ/ず却て喜び/其後母も病/ひに臥ども看/病とても/等閑なり/しに或時背戸にて/よごれたる衣をそそぎて居/たりしに不思議や黒雲舞下り大/謁一声叱つて曰く不孝の/女覚悟せよイデ引さらひ連/ゆかんと聞くに女は心も消へアツト一声/叫びしまま悶絶なして倒れしを良夫佐次郎/怪しミて戸外に出れバ思ひきや妻の気絶に驚天し医を/呼迎へて薬を与へ介抱なせバやうやうと我に返りてありしを語り/夫より邪見の角折れて優しき者となりしとぞ )

作成(L6-027): 絵師:一恵斎芳幾 彫師:渡辺彫栄

出版者(L6-074): 錦昇堂

デジタルデータ関連-デジタル化の有無(L6-046): デジタル化済

元記事原文(CUSTOM_00023): *1059カ* 心の鬼が悔悟(はっき)すれバ昨日(きのふ)の悪人も今日(けふ)ハ善人なり是を/世話に邪見の角(つの)が折(おれ)ると云ふ爰に■■国沼田郡楠木村に/木挽きの佐次郎と云ふ者あり父柳平も母親の共に老衰に及/びたれども佐次郎ハ女房の姿色(きりやう)の美(よき)に心を奪ハれ両親(ふたおや)に/も増さりて大切にするゆゑ女房ハ附上(あが)りて日ましに気儘/に募(つの)り父母への奉養(やしなひ)も疎略(そりゃく)なれバ両親の心に叶ハず彼(あ)の/様な心達(たて)の者ハ離別したが宜(よ)いと度々(たびたび)申し出(だ)せども佐/次郎ハ此女房より外にハ女ハない様(やう)に思ひて更に聞入(ききい)れ/る気色もなけれバ年寄夫婦ハ致し方もなく夫(それ)なりけりで/暮す内にもとかく嫁(よめ)の邪見(じゃけん)なるが心に掛り是が病気の種(たね)/となりて煩(わづら)ひけるが去月上旬ごろに至り段々重躰に趣/きて野辺の烟りと消(き)え失(う)せしを嫁(よめ)ハ目の上の瘤(こぶ)を取り除(の)/けたと云ハぬばかりの顔付で居る処に母親も引続(つづ)いて床/に付きたれども相替(かは)らず介抱(かいほう)も等閑に打(うち)過(すぎ)しが本月十五/日毎常(いつも)の通り佐次郎が仕事に出(で)るゆゑ女房も起(お)き出で裏/口で顔(かほ)を洗ひ居りしが忽まち怪しき声を発しアリャー■/さん許(ゆる)して遣(つか)アさいト云ひつつハタと倒れ伏し其まま息(いき)/も絶(た)え果(はて)たり佐次郎ハ見るよりも狼狽(うろたへ)騒(さは)ぎヤレ皆さん早/う来て遣(つか)アさいなアと声を揚げ傍(あた)り近所を呼び集め水に/■と動揺(どよ)めきけるに暫(しば)らくするとウンと息を吹き返(かへ)し蘇(そ)/生(せい)せしにぞ皆々大きに悦びつつ撫(なで)つ捺(さす)りつして気分ハ/如何(いかが)と尋(たづ)ぬれバ女房ハ大息を突(つ)いて云ひけるやう今朝(けさ)ほ/ど手水(てみづ)を遣(つか)ハうと思ひ裏口の戸を明けし折(お)りに俄かに黒/雲舞ひ下(さが)り稲妻(いなづま)の如くの光りを放(はな)ち雲の内にハ怪しき姿(すがた)/の物が顕(あら)ハれ悪(にく)い奴(やつ)めと云ひさま私(わたし)を掻(かき)■(さら)ッて何処(どこ)とも/無く立去りますゆゑ泣(なけ)ども叫(さけべ)ども人も居(お)らず仕方なしに/彼の怪しき物に向ひ是まで女の道に背(そむ)き夫を侮(あなど)り両親の/心に逆(さか)らひ悪を悪とも思ハずして邪見に此世を暮しまし/たが以後ハ屹(きつ)と心を改め善心に翻(ひる)がへり母さまを大切に/致しますから何(ど)うぞお許(ゆる)し下されと平伏(ひれふ)して詫(わび)る内に何/者か助けて呉れると思ひしが夢の覚(さめ)たる様(やう)に気が附(つき)まし/た是と申スも私が年ごろ悪念増長して冥罰(めうばつ)を蒙りしも是/ミな神様の御戒(おんいま)しめと存じます是からハ急度今までの悪/念を悔悟(ほっき)いたしますアラ有難(ありがた)や尊(とっと)やと懺悔(ざんげ)の色を顕(あら)ハし/けれバ打寄(うちよ)りし者も顔を見合ハせて身の毛もよだつ心地/せりとぞ斯(かく)て此婦人ハ廣島の寺町なる真宗仏護寺に往き/涙(なみだ)を流しつつ有りし事どもを物語りて尊とき道に導(みちび)かせ/玉へと思入ッて願ひけれバ和尚も感心して仏の功徳の/有り難き事を懇誠(ねんごろ)に説き聞かせけるにぞいよいよ邪見の/角をれて是より折り折り村内の光明時へもまいり説教を/聴聞(てうもん)して真実善心に立帰り老母へも孝行を盡し優(やさ)しき女/房となりけるとぞ選集抄か砂石集などに有(あり)そうな咄しな/れども是(これ)ぞ悪念を悔悟して忽ち善人となるべき時機の到/りしなるべし然(さ)れども其近郷にてハ佐次郎が打ちにハ女房/が余(あんま)り邪見で牛頭馬頭(ごつめづ)の鬼が火(ひ)の車(くるま)を引(ひ)いて迎へに来(きた)げ/な抔と評判するも昔し風の残りたる田舎の習しなるべし

コレクション名

  • Digital Cultural Heritage

    東京大学大学院情報学環附属社会情報研究資料センター/ 情報学環・学際情報学府図書室が所蔵する資料の一部を公開しております。
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