Level: アイテム

identifier: O-COL-SN-274

Type: 錦絵

Subject: 新聞錦絵

number of pages: 1

来歴-所有者（L6-001）: 東京大学大学院情報学環図書室/附属社会情報研究資料センター

来歴-現物資料の来歴（L6-002）: 1970年代後半小野秀雄邸より旧新聞研究所に移管。1980年代から2000年代にかけて情報学環本館7F展示室に保存されていたものを、2007年以降図書室/社会情報研究資料センター貴重資料保存スペースに移管。

言語（L6-077）: ja

内容記述（L6-068）: 母・本人・娘の三代同時の結婚。(読み下し文_括弧なし:宮城県亘理郡十二小区亘理駅の農熊沢/松之助ハ年齢五十路の坂を越るに老て益/壮健なるが同郷斉藤豊吉の后妻きの/か容色に想をかけ夫が留守の閑を音信/れ終に深しき中とハなりたり松之助思へ/らく貧困の豊吉なれバ金に換てきのを/乞ひ晴て快楽を契らんものと媒言を/依頼して斯と談合に及びしに豊吉ハ點/頭て左迄の懇望いなミ難く十円を与へ/なバ妻を嫁すべく就てハ父と娘を諸共/引取たまハれかしと返答なれバ仲人委細/を引受て先きのを娶り連子ハ悴に妻/合せ父なるハ母に具へ一家同時に三夫/婦を揃ひたるハ世にも稀なる吉瑞なり/けり/のんのん舎南龍誌 )

作成（L6-027）: 絵師:大蘇芳年 /彫師:彫工銀

出版者（L6-074）: やまと新聞社

成立年代-元号（L6-021）: 明治

成立年代-年（L6-022）: 8

成立年代-月（L6-023）: 8

デジタルデータ関連-デジタル化の有無（L6-046）: デジタル化済

元記事原文（CUSTOM_00023）: ○何れの新聞にや先頃麹町邊の人に母か娘を引連れ同日/に或る家の親子に嫁し一時二夫婦に成りたる話ありて奇/縁もあれハ有る者と思ひしが今又更に母と己と子と一時/に繼父と繼妻と娶を得て預しめ橋の渡り始の用意となる/奇縁の上の奇縁を結ひし新報を得たり是ハ宮城県下十大/區亘理(わたり)郡十二小區堤村の内亘理驛に住せる農熊澤松之助/年既に五十に近して昨年妻を失して鰥(やもめ)なるか家に六十余/の母あり又二十計の嫡男あれハ耕耘(こうさく)の暇(あひだ)にハ駄賃■(だちんむま)など/逐て其日を暮しけるか軒並ひの農に齋藤豊吉と云ふ者あ/り年五十に過て后添(のちそへ)喜野(きの)ハ器量も好くて年若く先夫の娘/を連れて此家に嫁(かたづ)き來れる者なるか二三年を經て後にハ/其父も來りて掛り居たれハ舅(しうと)に準(じゆん)する者なりと懇(ねんごろ)に取扱/ふものヽ人増せハ水増すとやら自然暮しも骨折れて豊吉/ハ鹽など販(ひさ)きて日毎に遠方迄宛賣歩行き家に在る事稀な/りけるに松之助も比隣の事なれハ折々往來して喜野と物/語なとするものから自然と親ミ昵(な■)みて終に深き中となる/より松之助心窃(ひそか)に思惟(しゆい)するに彼豊吉ハ貧苦の身なれハ金/さへ出さハ何條喜野を我に與へさる理あらんやと考へ定/め幸ひ同町なる齋藤市郎平ハ兩人共に懇意(こんい)の者なれハ事/由を語りて豐吉の心を引見るに豐吉か荅にハ我も見らる/ヽ通り貧窶(ひんる)に迫(せま)れハ松之助左迄執心(しうしん)ならハ金拾円呉なバ/喜野を譲(ゆづ)りもせんか其代り彼か親父(おやぢ)と連(つ)れ娘と一同に引/取り呉られよと謂ハれて市郎平も少し小頭(くび)を傾(かた)げしか稍/ありて横手を打て獨頷(うなづ)き合點(がつてん)して急き歸り松之助に談す/るやふ喜野ハ幸ひ父あり娘あれハ父ハ汝か母に與へ喜野/ハ汝か望通りに妻取り娘ハ汝か嫡男(むすこ)に與へなバ母子孫同/時に偶を得て一家に三夫婦揃ふと云ふ此上目出度事あら/じと説れて松之助実(げ)にもと納得(なつとく)し急に田地を質入し十円/の金を才覺して之を納れ互に證書を取り替せ明治八年三/月二十三日の吉辰に無〓(レ点、無と滞の間に入る)滞婚姻式を執行せりと