東京日々新聞 九百三十八号

種別
図書
内容記述

Level: アイテム

identifier: O-COL-SN-187

Type: 錦絵

Subject: 新聞錦絵

number of pages: 1

来歴-所有者(L6-001): 東京大学大学院情報学環図書室/附属社会情報研究資料センター

来歴-現物資料の来歴(L6-002): 1970年代後半小野秀雄邸より旧新聞研究所に移管。1980年代から2000年代にかけて情報学環本館7F展示室に保存されていたものを、2007年以降図書室/社会情報研究資料センター貴重資料保存スペースに移管。

言語(L6-077): ja

内容記述(L6-068): 放蕩息子、養家を追われ兄を殺害(読み下し文_括弧なし:六花の名/勝の越後の国。/新潟街の呉服商にて/巨萬とある銀世界。積て白勢屋/仙次郎が弟の喜三郎なるものハ。他家へ/養子の離縁より。させる家業も無ものから兄に/迫て産財より家倉地面に至る迄。亡父が/譲の物あれバ分与よと/責れども。放蕩無頼の/所行を知れバ。容易に/許さぬ兄を恨ミ。其/憤に堪さりけん。乙亥/二月二日の夜。兄仙次郎が/熟睡せし房に忍びて/刺殺し。他より賊の/押入し体にもてなし居たりしも。天網いかでか/如此き悪逆賊を洩すべき五日を経ずして縛に就たり/ 転々堂録 )

作成(L6-027): 絵師:恵斎芳幾,彫師: 渡辺彫栄

出版者(L6-074): 人形町具足屋

デジタルデータ関連-デジタル化の有無(L6-046): デジタル化済

元記事原文(CUSTOM_00023): 越後の新瀉本町通り七番町にて白勢屋仙右衛門ハ世に/聞えたる呉服屋なり先代仙右衛門ハ末年に至りて少しく/家声を落したれども其子井上仙次郎が勤勉に依りて近來/ハ家業再たび繁昌し三府■■の問屋にも取り引■■■■/なりしが如何なる禍津日(まがつひ)の神の祟(たたり)にや実に驚(おどろ)くべく痛(いた)む/べく憤(いきど)ほるべきの奇禍(ちんじ)を出來したり此仙次郎が弟に喜三/郎とて今年十八歳になる男あり素より父仙右衛門が愛に/溺(おぼ)れて教(おしへ)もなく育(そだ)て揚げたる我侭息子なりしを去年九月/二十日に近邊なる福島伊八と云ふ者かたへ聟養子と成り縁/付(つき)しが兎角に家内の居合(おりあ)ひ悪しく遂に去ル一月十五日い/よいよ離縁と成りて兄仙次郎が許(もと)へ引き取り居たるに差/し向き家業の目当も無けれバ屡屡兄仙次郎に迫りて財/産を分ち與(あた)へよと責(せむ)れども仙次郎ハ元より渠(かれ)が身持の無/頼(ぶらい)なるを知れバ容易にこれを聽(ゆる)さゞりけるにぞ喜三郎ハ/心中に深く是を恨(うら)みて思へらく家倉(いえくら)地面もざいさんも共に亡/父の譲り物なれバ末子の我(われ)にも何程か分(わか)ち與(あた)へざるの理/あらんや扨も悪き兄が所存かな好々(よしゝゝ)さらバ此上ハ竊(ひそ)かに/兄を亡(な)き物にさへすれバ只(たツ)た二人の兄弟ゆゑ外に此家名/を續(つぐ)べき者なし然(さ)すれバ此日ごろの無念も晴れ且ツ新瀉/にて一二を争そふ大家の主人と仰がれん此事うまく仕/果(おほ)せん者と心を決し竊かに時節を待居(まちゐ)たるに本月二日の/夕八時ごろ仙次郎ハ商用ありて妹聟の信七伴(とも)なひ近邊/まで出行きしが母も其まへ他出したれバ喜三郎ハ仙次郎/が妻おていと共に留守をして居る内に母ハ間もなく歸り/來りて毎(いつ)もの如く二階に寐(い)ね嫂(あによめ)おていハ寐間(ねま)の火閣(こたつ)に暖(あた)/りて仙次郎の歸るを待ち居り喜三郎ハ次の間に臥し早く/眠りて仙次郎が歸りし時刻ハ知らざりしが忽まち目醒(めさめ)て/様子を窺(うか)がふに恰(あたか)も仙次郎が歸り來りて寐入(ねい)り花なる鼻/息(いびき)の声に折こそ好けれと喜三郎ハむッくと起て用意の短/刀を携さへ大膽にも兄が寐間へ忍び入りたるに枕上(まくらもと)に行/燈ありて兄が顔ハ喜三郎が入りたる方に向ひ居れバ丁度/よしとや思ひけん直に短刀抜き放(はな)して咽喉(のどふゑ)へ突き立(たつ)るに/仙次郎ハ只グーと云ふ声(こゑ)の下(した)にぞ果敢(はか)なく息絶(い■たへ)たりけ/る折しも嫂おていが目を醒(さま)さんとするゆゑ喜三郎ハ速か/に元の臥床へ立ち戻(もど)り眠(ねむり)たる体にて居たるを急におてい/が呼び立る声に応じて起き出(いで)で驚きたる様子を成しつ/ゝ直さま母を呼び起し自から醫者を迎(むか)へんと出(いで)がけに高/声にて表の戸が開(あい)て居るハと云ひしハ外より賊の押し入/りたる體に取り成さんとの心組にて兄を刺し殺したる短/刀をバ手行李の内に隠し置き其後ハ更に知らざる顔にて/居たるが天綱いかでか此悪逆の賊を洩さん未だ五日を出/ずして去ル七日の午後一時ごろ忽まち縛に就きたりける/翌八日県庭にて吟味の節喜三郎が言上せし趣ハ亡父の/遺言に四百六十三番地ハ兄仙次郎に與(あた)へ四百五十番地/ハ喜三郎に與へんとの約あり然ルに仙次郎活計の都合/に依り四百六十三番地を賣り拂らひ四百五十番地へ引/き移りて居住せり喜三郎ハ此ごろ福島氏を離縁せられ/し後ハ産業の目的なきを患ひ仙次郎に談判しけるハ縦令今の住居を譲(ゆづ)る譯(わけ)にハ成らずとも亡父の遺言に對し/多少財産を分(わか)ち與へ呉れよと云ふに兄仙次郎が許(ゆるさ)ざる/より遂に此悪念を起したりと云ひし由なれども父仙右/衛門ハ罪ありて獄に死せし由なれバ遺言あるの理なし/故に此口供ハ信ずべからず且ツ仙次郎ハ家名を再興せ/し程の勉強家にて此度の横死ハ市中一般に是を悲しみ/惜(をし)まざる者なく其妻おていも素より貞順の譽(ほまれ)ありし程/なりしを如何なれバ斯(かゝ)る奇禍を得し者ならんと人々歎/息せり

コレクション名

  • Digital Cultural Heritage

    東京大学大学院情報学環附属社会情報研究資料センター/ 情報学環・学際情報学府図書室が所蔵する資料の一部を公開しております。
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