Level: アイテム

identifier: O-COL-SN-199

Type: 錦絵

Subject: 新聞錦絵

number of pages: 1

来歴-所有者（L6-001）: 東京大学大学院情報学環図書室/附属社会情報研究資料センター

来歴-現物資料の来歴（L6-002）: 1970年代後半小野秀雄邸より旧新聞研究所に移管。1980年代から2000年代にかけて情報学環本館7F展示室に保存されていたものを、2007年以降図書室/社会情報研究資料センター貴重資料保存スペースに移管。

言語（L6-077）: ja

内容記述（L6-068）: 恋人を見舞う娘を、頑固な父親が阻止。(読み下し文_括弧なし:本所石原町久松某氏に寄留する岡田某の息子市太郎ハ横浜に/存けるころ不老町の佐野文蔵が娘おたつに浮と馴れ染めて/深く云ひ交ハせしが其のち市太郎ハ再たび東京に帰り/居けるに此ごろ病気なる由を知らせし者ありけれバおたつハ元/より姿色の美しきのミならず心も優しき娘なれバ大に驚きて/若し此侭にて死別れとなりもせバ後悔して返らぬ事なりと/蒸氣/車に/乗りて東/京に着や/否や本所石/原を探して岡/田氏に尋ね来り私ハ/斯うこう云ふ/訳の者でござりますが市太郎/さんの大病と承ハり甚だ心配に成りま/すから耻をわすれて参りました何うぞお枕元/まで参つて御様子を伺ハせて下ださりませと涙に/呉れて云ひけれども岡田氏ハ以の外に憤りて其様/な女が尋ねてきた杯と知れてハ世間へ顔向が出来/ませぬ早速に帰り居ろうと取ても付かぬ挨拶/ゆゑおたつハ情なくなくも詮かたなけれバ凄すごと岡田の/宅を立ち出で巡査屯所へ参りて涙と共に右の趣を/述べ願ひたれバ巡査も其真心を感心し再たびおたつを/連れて岡田の内へ往き此娘の様子を見るに世の中の/薄情にて慾に耽り色を売る者の類とハ思ハれず一旦契りし/男の為に実意を尽すの貞節ハ感心の事なり枉て病人に/逢ハせ候へと説諭すれども岡田ハ聞き入れす然らバ唯今/よひ一夜を明かさせ遣ハすべし對面させる事ハ思ひも/よらすとの事ゆゑ巡査も秋れて■[木に匁]も頑陋なる親父かなとハ思ひしが争ふへき事/にもあらねバ/其夜ハ其まゝ/娘を差し/置きて帰り/しとか其後/如何なりしや/知らす )

作成（L6-027）: 絵師:恵斎芳幾/彫師:渡辺彫栄

出版者（L6-074）: 人形町具足屋

デジタルデータ関連-デジタル化の有無（L6-046）: デジタル化済

元記事原文（CUSTOM_00023）: 本所石原町久松某氏に寄留する濱松県士族岡田某の息/子市太郎ハ二三年前かねて横濱に在けるころ不老町の日/の出橋の佐野文藏が娘おたつに浮(ふ)と馴れ染めて深く云ひ/交(か)ハせしが其のち市太郎ハ再たび東京に歸りて父が手元/に居けるに此ごろ病氣にて九死一生なる山を知らせし者/ありければおたつハ元より姿色(きりょう)の美(うつ)しき而己ならず心も/優(やさ)しき娘なれバ大に驚きて縦令ひ親の許(ゆる)さぬ中とても/末ハ夫婦の約束なれバ若し此侭にて死別れとなりもせバ/後悔して返らぬ事なりと此ころ或る日の暮方より蒸氣車/に乗りて東京に着や否や一刻も早くと取り急ぎて本所石/原を探(さが)して岡田氏に尋ね來り甚だ申し上げ兼ねますれど/も私ハ斯(か)う斯う云ふ譯の者でござりますが市太郎さんの/大病と承ハり甚だ心配に成りますから内に案じてばかり/居る所でハ無いと耻をわすれて參りました何(ど)うぞお枕元/まで參(まゐ)ツて御樣子を伺(うかゞ)ハせて下ださりませと涙に呉(く)れて/云ひけれども岡田氏ハ以ての外に憤(いきどほ)りて其樣な女が尋ね/て來た抔と世間へ知れてハ市太郎の耻のミならず此方に/ても人に顔向(むけ)が出來ませぬ早速に歸り居(を)ろうとか去(いん)で/仕舞へとか云ツて取ても付かぬ挨拶ゆゑおたつハ情(なさけ)なく/情なくも詮かたなけれバ凄(すご)々と岡田の宅を立ち出で巡査/屯所へ參りて涙と共に右の趣を述べ願ひけれバ巡査も其/眞心(まごゝろ)を感心し再たびおたつを連れて岡田の内へ往き此娘/の樣子を見るに世の中の薄情にて慾に耽り色を賣る者の/類とハ思ハれず一旦契りし男の為(ため)に実意を盡の貞節ハ/感心の事なり枉て病人に逢ハせ候へと説諭すれども岡田/ハ聞き入れず然らバ唯今(こ)よひ一夜を明(あ)かさせ遣(つか)ハすべし/市太郎に對面させる事ハ思ひもよらずとの事ゆゑ巡査も/秋れて扨も頑陋(かたいぢ)なる親父(おやじ)かなとハ思ひしが争ふべき事に/もあらねバ其夜ハ其まゝ娘を差し置きて歸りしとか其後/如何なりしや知らず