東京日々新聞 九百八十四号

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Book
Description

Level: アイテム

identifier: O-COL-SN-200

Type: 錦絵

Subject: 新聞錦絵

number of pages: 1

来歴-所有者(L6-001): 東京大学大学院情報学環図書室/附属社会情報研究資料センター

来歴-現物資料の来歴(L6-002): 1970年代後半小野秀雄邸より旧新聞研究所に移管。1980年代から2000年代にかけて情報学環本館7F展示室に保存されていたものを、2007年以降図書室/社会情報研究資料センター貴重資料保存スペースに移管。

言語(L6-077): ja

内容記述(L6-068): 遊女を抜けた女が再び女郎に転落、夫が自殺。(読み下し文_括弧なし:吉原角町の妓楼鶴本のおわかハ去ル頃遊女解放の令ありしとき其ころ買ひ/馴染の客にて上槙町の芦名安次郎が妻となり夫婦に老母と共に暮しけるが/安次郎は今年三十三才にて老母ハ七十歳なり家業ハ魚屋にて病身なる上に薄/元手なれバ追々朝夕の姻りも立かねるにぞ妻おわかと熟談の上睦ましき中をも/余儀なく離縁し父が許に在しが兎角安次郎が事を案じ何とぞして活計を立させ/ざれバ年老たる姑か飢渇にも及バんと歎き暮せども女の身にて工風も/無けれバ爰でこそ夫の為に身を売る所ならんと昔し風に思ひしが/古ぼけたれど廃らぬ品にて殊に売り方も手馴れたれバ先月/二十八日鶴本に相談整ひ二度の務と出稼の給金六十円を前/借しその内十円にて衣類手道具を求め残る五十円をバ/安次良方へ送り是を家業の本銭として活計を立て老母を過せ/玉へと云遣ハし自から憂き川竹の流れに身を沈めけれバ安次郎母子も深く其/義を感じ涙と共に是を受取りしが借財の方より一度に責め入られて彼の五十/円も忽ち残り少なになり以前に替らぬ貧乏にて其日も渡り兼る程なれバ折/角おわかが貢いで呉れた深き情愛も功能も無く老母にこの難儀をさせるが心憂く/おわかに対し面目なけれバ此世に在りて甲斐もなし淵にや沈まん梁にやぶら下らんと思ふも度々なれども/切なる胸を堪へつつ今度逢ひてその親切を謝し且つハ厭ぬ別れの憂をも晴し此世の暇を告んと去ル九日の夕がた/安次良は母に向ツて吉原へ往ておわかに逢ひ此間の礼を云ツて来たいと思ふが事に依ると今晩ハ泊ツて来る/やも知れませんと云ひ置き速かに鶴本に至り娼妓おわかを買ひ揚げ快よく酒食し頓て両人とも打臥/したるに其夜の暁がたアつと叫びたる声におわかハ驚ろき見れバ安次良ハ咽喉突き俯臥たりおわか/ハ直と取り縋り誰ぞ早くと声立けれバ家内中が駈集まり速に手当なし死にハ至らぬよし )

作成(L6-027): 絵師:恵斎芳幾/彫師:ホリエイ

出版者(L6-074): 人形町具足屋

デジタルデータ関連-デジタル化の有無(L6-046): デジタル化済

元記事原文(CUSTOM_00023): 吉はら角町の妓樓鶴本のおわかと云ふ女郎ハ本所番塲/町の佐藤松五郎が三女にて今年二十六才なり先年此おわ/かゞ或る女郎屋に居たりしころ遊女解放の令ありしかバ/其ころ買ひ馴染の客にて上槙町の芦名安次郎が妻となり/夫婦に老母と共に暮しけるが間も無く本所荒井町へ移住/し其後また越前堀へ引越したり此安次郎ハ今年三十三才/にて七十才になる老母あり家業ハ魚屋なれども素より病/身なる上に薄元手なれバ追ひ追ひ貧苦に迫り朝夕の烟り/も立かぬる姿となり行(ゆき)けるにぞ是でハ迚も行末おぼつか/なしとて本年三月の始ごろ妻おわかと熟談のうへ睦まし/き中をも余儀なく離縁し父松五郎かたへ返しけるにおわ/かハ父の許に歸りても兎かく安五郎が事を案じ何とぞし/て活計を立させざれバ年老たる姑が飢渇にも及バんと歎/き暮(くら)せども素より手弱(てよわ)き女の身にて外に工夫も無けれバ/爰でこそ夫(をツと)の為に身を賣る所ならんと昔し風に思ひしが/古(ふる)ぼけたれども廢(すた)らぬ品にて殊にり方も手馴れたれバ/先月二十八日に角町の鶴本へ相談とゝのひ二度の務(つとめ)と出/かせぎの給金六拾円を前借りに受取りその内十円にて自/分の衣類手道具を買ひ求め殘る五十円をバ父松五郎も納/得の上にて殘らず安五郎かたへ送り是を家業の本錢(もとで)とし/て活計を立て老母を過(すぐ)させ玉へと云ひ遣ハし自から憂(うき)/川竹の流れに身を沈めけれバ安次郎母子も深く其義を感/じ涙と共に是を受取りしが如何にせん是まで溜りたる店/賃米代その外あまたの借財の方より一度に責め入られて/彼の五十円も忽まち殘り少(すく)なに成りけれバ以前に替らぬ/貧乏にて家業も六かしく其日をも渡り兼ぬる程なれバ折/角おわかゞ血の出るやうな金を才角して貢いで呉れた深/き情愛も格別の功能も無きに至り老母にこの難儀をさせ/るが心憂(こゝろう)く且ツハおわかに對して面目なけれバ此世に在/りても在り甲斐も無し淵にや沈まん梁にやぶら下らんと/思ふことも度々なれども切(せつ)なる胸を押(お)し堪(こら)へつゝ如何に/もして今一度おわかに逢ひてその親切を謝し且ツハ厭(あが)ぬ別れの憂(うさ)をも晴して夫レを思ひ出に此世の暇を告げんと/去ル九日の夕がた安次郎ハ母に向ツて私ハ是から一寸(ちよッ)と/吉原へ往(いツ)て前妻おわかに逢ひ此間の禮を云ツて來(き)たいと/思ふが事に依ると今晩ハ泊(とま)ツて來(く)るかも知れませんと云/ひ置き速かに鶴本に至り只の客の 積りにて娼妓おわかを/買ひ揚げ快く酒食して睦ましき体なるハ兼て馴染の人/なるべしと朋輩の女郎も恠しむ者なく頓て兩人とも打臥/したるにその夜の暁がたアツと叫びたる一声におわかハ/驚き見れバ安次郎ハ出刃庖丁にて咽喉を突き朱(あけ)に染(そみ)て/俯伏(うつふし)たりおわかハ見るより直と取り縋(すが)りて刃物を把(は)ぎ取/り疵口を押さへながらアヽ誰ぞ來て下さいヨー早く來て/下さいヨーと声たてけれバ家内中が駈け集りて速かに醫/師を招き手当をし其筋へ届けて檢査を受けたり疵口ハ長/サ八分ばかりに深サ六分ほどにて死ぬる程の事ハ有るま/いと申ス事なり扨も氣の毒なる咄しならずや

Collection

  • Digital Cultural Heritage

    A part of collections in Multi-media and Socio-information Studies Archive and III/GSII Library (Interfaculty Initiative in Information Studies, Graduate School of Interdisciplinary Information Studies Library), the Unviersity of Tokyo are available on this page.
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